雪まみれの八ヶ岳赤岳天狗尾根


大阪ぽっぽ会 大見則親

八ヶ岳の東面は大阪からはアプローチの悪さもあり、大阪からはあまり行くことはないと思います。
今回は、このうち赤岳天狗尾根について報告します。

初めてのルートに週末は大雪というニュース、さてどうなるかという思いで入山しました。
結果は、入山者もかなり少なく雪も多く、核心部の大天狗は雪でルートがわかりにくく、
稜線も風が強くという状況で、久々のアルパインの雰囲気十分のクライミングを楽しめました。
最高!

日にち  2001年1月12日(金)夜行〜14日(日)
メンバー 大阪ぽっぽ会 大見、伊東敏紀 COWAC 堀井
ルート  美しの森−出合小屋−天狗尾根2300mテント泊−カニノハサミ−大天狗
          −小天狗−文三郎−行者小屋−美濃戸口

 旭岳東稜から見た 赤岳天狗尾根
   


12日(金)
    前日からの大雪情報が気になりながら、大阪発21:40の急行ちくまにて出発。
    登山者が誰もいないのが気にかかる。

13日(土)
  AM4:00 塩尻着
    駅の待合室で仮眠するが、この時期、登山客でいっぱいのはずが、
    やはり誰もいない。大雪情報が出ているのに山に来るのは無謀か?
 8:30 清里着
    タクシーにて美しの森へ。
 10:00美しの森発
    車が数台止まっており、先行パーティーもいるので、一安心。
   トレールをたどって、堰堤を7つくらい越えていく。
   出合小屋までは30cmから50cm位の積雪で、一気に積もったようだ。
    ほとんど新雪状態であった。天気は晴れ。
 12:05出会小屋着
    2パーティー6人が、進むかどうか悩んでいた。すでに、1パーティづつ天狗尾根と、
    旭東陵に取り付いているという。行けるところまで行くことにした。

  12:30出合小屋出発
    沢沿いの先行パーティのラッセルを追う。天気は曇り。
 13:10天狗尾根の取り付きに到着。
    先行パーティに追いつく。途中にも尾根にあがるマークはあったが、1時間歩いたこの地点からあがる事とした。
 13:20 10分の休憩の後、急な斜面を登る。
    先行パーティに代わってラッセルするが、胸までの雪でなかなか進まない。やがて尾根に出て、
    2100mのテン場をすぎ、明日を考えてさらに先の2300mに設営する。
    尾根上でも積雪は30cm以上あるが、この時点で、そんなに雪は降っていない。真教寺尾根も稜線もよく見える。
    風も吹いていない。
 15:40 2300m地点にて設営。
    天気図をとった後、ブランディーとソーセージで、明日の天気がましなことを乾杯する。
   (関東地方は、少し移動性高気圧圏内であることに期待しつつ)
    なお、携帯(Jフォン)が通じた。嫁に梅田で飲んでいるんじゃないの、とも言われた。
 21:20就寝
14日(日)

 5:50 あーー寝坊した。
    5時おきだったのに!今日は時間切れ敗退かな?
  8:00 しかもゆっくり出発。
    昨夜の積雪は15cm。空は暗くなく明るいし、雪は少し降っているくらい。
    風は微風。状況としては、GO!!である。しかし、周りの尾根や稜線は見え
    ない。とにかく、カニノハサミまで行って判断することにしよう。
    この上で張っている先行パーティも、前進しているようだ。
 9:05 見るからにカニノハサミ!という岩峰が見える。
    記念撮影。15分休憩。状況は悪くならない。雪も問題ない。行こう!
 9:50 大天狗と思われる壁で先行に追いつく。
    今日もラッセル泥棒だ。申し訳ない。ロープを出して、真ん中突破を試みるが、
    敗退。フィックスロープのある右から巻く。無駄なトライをしたので、3人
    通過に1時間要した。この間に、お天道様が見えてきた。
 13:00頃
    さらに、ちょっと切り立った小さな岩峰を越え、しばらく行くと、
    なぜか?さっきより大きな岩峰が現れた。
    先行パーティが、ここが大天狗だという。ショック!!今日中には大阪に
    帰れないかもしれない、、降りるか?
    この時点では、風も強くなって、南の方から黒い雲もやってきて、
    権現岳あたりは、雪煙も上がっている。ここでも雪が強く舞い始めた。
    先行は、切り立った壁の突破を試みているが、ここは、3級程度の岩登りのはず。
    きっと弱点があるに違いない。
    右の雪のついた垂直の壁にトライしてみる。近づいていくと、雪面の中に足場が
    隠れている。垂直の雪壁は、ルンゼ状になっており、雪を払うとホールドと
    ハーケンが出てきた。
    ちょっと上には、草付きがあったので、アックスをさして体重を預けて,
    乗り込んでみる。
    その次は、右にトラバース。ピナクルの上にヌンチャクを引っかけて進む。
    もう一回アックスに体重を預けて、上のバンドに移り、ロープをフィックス。
    普段は、こんな厳しいルートじゃないんだろうなあ、、
    先行の4人(ここからは我々が先行だが)にフィックスの回収を頼み我々は、
    この先ラッセルをする。
 14:40
    小天狗を左から巻いて通過し、稜線に出る。風が強いが、雪はやみ天気は回復。
    しかし、唇がもげそうなくらいに、冷たかった。
    稜線では雪は飛んでおり、10cm程度の積雪。吹き溜まりは各所にあり、トレール
    はない。晴れてきたので、周りのすばらしい景色を独占してラッセルを
    楽しみながら、進む。
 15:55
    文三郎を走って降り、行者小屋着。ここで見た景色は素晴らしかった。天気は,ほぼ快晴。
    見渡す限りの白い山肌。誰も登山客はいない。こんないい天気に、人がいない八ヶ岳を見たのは初めて。
    なお、ほとんどラッセルをしてくれた先行パーティは、大学WVのOBという。強いはずだ。感謝。

 16:20  行者小屋発
 17:15  鉱泉分岐(赤岳山荘?)着
 18:00  美濃戸口
 19:20  茅野発
 20:32  塩尻発特急しなの
 22:34  名古屋発ひかり
 23:39 新大阪着 梅田発終電にぎりぎりセーフ!あー疲れた。 

  カニノハサミの前の急登を行くホリーこと堀井さん

補足:ザイルは3人で1本。ウォートホッグ、ハーケンは各2、3本使用。

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