98年正月北鎌尾根の記録です。


1.日  程  1997年12月27日〜1998年1月2日
2.パーティー 大阪ぽっぽ会 伊東(と)、由良、大見
3.時間の記録
 私たちは、移動性高気圧の動きを読み違えてしまい、
停滞したので結構長く楽しんじゃいました。(負け惜しみ!)

12/27 21:43 急行くろよん大阪発
12/28 5:27 信濃大町着       6:34 七倉トンネル入り口
     6:48 トンネル出口        7:55 高瀬ダム上トンネル着
      8:10 トンネル発         11:10 湯俣着
   11:30 湯俣発             14:30 渡渉点(登高研に会う)
      15:30 千天出会い         16:15 P2取り付きテン場
12/29 6:30 起床          8:15 出発
    9:45 P2(善通寺労山に会う)11:40 P3?着           
   12:00 P3?発       14:30 P6ザイル使って通過
   15:30 P8手前テン場着
12/30 4:30 起床          8:05 出発
   10:15 天狗の腰掛けテン場着
12/31 停滞
 1/1 6:00 起床(YCCに会う)  8:35 出発
   10:35 独標の頭       15:20 北鎌平テン場着
 1/2 4:30 起床          8:30 出発
   11:30 槍ヶ岳頂上      12:15 肩の小屋出発
   15:20 槍平発        17:40 新穂高温泉着
   19:33 高山発臨時特急    22:10 名古屋駅乗り換え

4.【行動の記録】
27日・急行ちくまで八ヶ岳に行くぽっぽ会のメンバを見送り、その後反対に
    見送られる立場となる。
   ・喜八さんからはキムチ1kgの差し入れ。田中さんからはビールや
    チーズの差し入れを受ける。由良君は靴を田中さんに預ける。
   ・冬山登山者データベースでお知り合いになった岳連の方(大阪西YMCA)も
    メンバーの方が同じ北鎌へ行くこととなり、声をかけていただいた。
    YMCAとはこの後、抜きつ抜かれつで結局帰りの電車も一緒であった。
28日・信濃大町からタクシー。湯俣からは、左岸を2〜3回へつる。ワイヤーの
    手前10m位の所を、ズボンをめくって素足で渡る。川の水は
    それほど冷たくなかった。そこからは右岸の危なげなところを1カ所
    高巻いて千点出会い。そこからも高巻いて、P2基部で石を飛びながら、
    対岸に渡り、設営。    
29日・朝2時間の寝坊。千天出会いで幕営していた善通寺労山が渡渉してくる。
    裏六甲百丈岩で5/18におこなわれた全国搬出交流会に参加された方がいた。
   ・P2への急登がしんどい。P2から先は広い尾根をひたすら歩くのみ。
    P5では先行パーティーはザイルを使っている。2mほどのフェースが
    むき出しになっており、慎重に越えると岩壁がある。踏み後に従って
    左側をトラバース。ザイルは使わなかった。
   ・そのまま20mほどの雪壁ルンゼを登るとコルに出る。P6尾根の右側は、
    ガレ場状のルンゼの先に、スパッと落ちており気持ち悪い。
    ザイルを出して越える。その先は樹林帯であり、尾根に続く。    
   ・P7までは、土がむき出しになったところもあり、ポカポカ陽気。
    P7の下りは急ではあるが、灌木につかまりモンキークライムダウン。
    北鎌のコルは雪が少なく、2張りぎりぎり。さらに越えて、P8手前の
    尾根を切り開いて幕営。
    善通寺労山はP8に張った模様。YMCAは確認できなかった。
30日・あさ,登高研究会が上がってくる。
   ・P8・P9は大きな尾根であり、区別つきにくい。1段上がり広い尾根。
    その先はふくらはぎが痛くなるような急斜面。その後の、下降路が
    わかりにくい。視界がないと迷うだろう。
   ・急な斜面を右や左に、アイゼンを効かせて降りる。テントが張れそうなコルがある。
    先行パーティーは直登しているようだが、そこから右へ10mトラバースして
    急な斜面をアックス効かせて登ると、天狗の腰掛けである。
   ・前日の南岸低気圧の通過のため、西高東低になり風が強くなると思い、
    早々と昼前に独標手前で設営。
31日・移動性高気圧に覆われて無風になるかと思ったら、西高東低!快晴ではあるが、
    朝から風が強かったので、停滞。
    同じ場所に張った茅ヶ崎と厚木山岳会は昼から独標を越えて行った。
    そのあとにYMCAが上がってきて、テントを張った。
      (我々も少しでも、動いておけば良かったと、反省)
 1日・今日も、風が強いが、動かなければ。滋賀の方々とYMCAは出発している。
    準備していると、さらに板橋労山と4人組、そしてYCCが 上がってきた。
    独標手前での順番待ちは、6番目であった。
    待っているとき、独標の頭でテントを片づけるのが見える。厚木山岳会だろうか?
   ・水平部分の切り立っているところでザイルを使い、岩壁に基部に行く。
    ちょっと左のルンゼに入る。フィックスロープが張ってある。ちょっと邪魔。
    ルンゼを乗り越え、左のピークに出る。そこから雪壁を1ピッチ登ると、
    緩やかになる。そこからノーザイルで頭に立つ。
   ・先行はYCCだった。我が会の先輩「石原さん」が転勤のため移った先であり、
    話が盛り上がる。
   ・頭から少し下ったろうか、また登りが出てくる。P12かP13だろう。
    右斜面トラバースだが、先行パーティーは尾根直下の少しハングっているところを
    トラバースしている。下を巻こうかと思ったが急である。尾根通しに行こうと
    登ってみたが、左側も切れ落ちていて進めない。結局、先行パーティの
    後をついて行くことにした。ハーケンを1本打ち、爪先を効かせてトラバース。
   ・その後の下りで、ワンタッチ式のアイゼンがはずれ、冷や汗をかく。
    アイゼン長さを決めている突起が穴からはずれたという単純な原因であり、
    氷にアイゼンをおもいっきし効かせて降りていたため、
    たわんではずれたのだと思う。この後、さらに1度はずれる。ビビる。
   ・この後、吹雪となり、コンテでいくつかのピークを越える。ついに
    3時20分。北鎌平につくが、ホワイトアウトで何も見えない。
   ・強風の中幕営。作った暴風壁も午後8時には吹っ飛ぶ。テントの中でポールを
    押さえて、風が弱くなるのを待つ。11時前、弱くなったので寝る。
   (実はこの日も2時間も寝坊!・・前日停滞なのに!!あー、早起きすべきだった。)
 2日・今日は快晴!だが、風は強い。槍もよく見えるし、周りの山も素晴らしい。
    東北の山々見えてしまっているのではないだろうかという位、よく見える。
    嵐の後の、北鎌平は素晴らしいところだ!! 
   ・右になだらかに落ちている斜面を横切り、槍の基部まで行く。我々は4番目であり、
    先頭パーティーがルンゼを越えて行くのを待つ。
   ・槍の穂先へは3ピッチ。基部から岩の隙間を上がりそのまま直上20mで、
    大きな岩の下につく。ピンはたくさん打ってあった。順番待ちをしていると、
    突如上から懸垂下降してくる2人組がいた。屏風から回ってきたという!すごい!
   ・大きな岩は、下部を左から抜け、10m直上後、5mほどの狭いルンゼの中を
    バイルを効かせて通り、抜けたところの左側の岩かげのテラスでビレイ(45m)。
    このピッチは、先行パーティはルンゼ下と上で2つに分けていた。
   ・テラスから右の岩の間をすり抜け直上後、岩壁を左に巻けば、槍の頂上直下の
    広いルンゼである。カメラマンがいたので、必要もないダブルアックスで決めて、
    穂先に踊り出る。記念写真を撮り、360度の素晴らしい景色を満喫後、下降。
   ・下山は大喰西尾根を降り、YMCAのメンバーと合流。その後、槍平、新穂高温泉を
    経て、高山駅着。臨時の特急があったのでその日の内に、新大阪までたどり着けた。
   (2日は、最高でした!!!遮るものなーーんも無し!!)
5.感想
  北鎌はアプローチが難しいと言われている。半分は冗談なんだろうが、確かに増水した
 場合、へつる事は難しいかもしれない。今回は水も少なくラッキーと言える。以前夏に来た
 時は、ブッシュ掻き分けて悲惨であった。冬は踏み後が残るため多少楽ではあった。
  千点出会いの右岸の高巻きは、ザイルを出した方がいいかもしれない。
  北鎌本来のルートは、独標・槍の穂先ともザイルを出せば特に問題はないが、ルート自身
 は長く、所々ザイルがあった方が良い場所が出てくるため、雪稜登攀技術に問題のある者が
 いるとかなり時間が掛かってしまう。急な斜面をピッケル1本で20〜30分続けて登れる
 技術と体力が必要と感じる。
  また、P8・9の辺りは広い尾根でホワイトアウトの時は降りる方向が分からなくなって
 しまうと考えられる。
  天気の読み方を間違えたのも時間が掛かった原因である。このことは別にまとめるが、
 南岸低気圧の通過後、移動性高気圧が追いかけて来て好天になると思いこんで、早々に行動
 を打ち切ったのはまずかった。しかもその後、西高東低配置が訪れたときでも、多少の風に
 おいても行動できる技術的・心理的余裕を持つべきであった。

 しかし、低気圧通過後の快晴時に槍の穂先に躍り出るこの快適さ!!
                                            最高ですよ! わかる!?

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