リベンジか返り討ちか 谷川岳は手強かった。
一の倉沢 南陵/変形チムニー 大阪ぽっぽ会 大見則親 3年前、大阪からわざわざ谷川岳に登りに行ったのだが 雨のため2時間で逃げ帰った、このリベンジを果たしに この連休行って来ました。 結果は、 0.一の倉 南稜 変形チムニー ツルベで完登 1.ザイル回収に2回失敗し、グランド フォール覚悟で登り返し。 2.アイゼンが谷底に転落 3.鉄砲水で緊急避難。 写真は、一の倉沢 メンバー :堀井(COWAC) 大見(ぽっぽ) 2001年 7/18(木) 23:26大阪発の急行きたぐに(新潟行き)に乗る。通路も人であふれ、身動きとれない。 金沢まで立っている人が10人程度はいただろうか?我々はどうにか通路に座り込むことができた。 JRの切符は、行きは「北陸線」帰りは「上越・東海道経由」の一筆書きにしておくと、約5000円 得になるので、谷川や尾瀬に行かれる方は、覚えておく事をおすすめします。 7/19(金) 一の倉 南陵 長岡から越後湯沢まで新幹線を使う。乗り継ぎ時間は短い。このチャンスを逃せば、土合まで 2時間遅れる事になる。土合には8:30に到着。噂の長い階段は、上り線にはなかった。ほっとした。 初めての一の倉沢まで、当たりをキョロキョロしながら行く。 10:40に登攀準備を整え、出発しようとしていると、なんと2月に八ヶ岳で会った方々と再会。 「どっかで会ったね、、」と互いに必死に思い出す。 さて出発。「ヒョングリの滝はどこだろう??」雪に埋まって見つけられなかった。途中雪渓を 10分位すたすた登り、テールリッジに取り付く。テールリッジにはピンがいっぱい打ってある。 冬は凍って登りにくくなるんだろうか? 12:00中央稜取り付きに到着。 12:30南陵スタート。ルートはどこでも登れそう。 ダブルロープが交差し、重くなる。チムニーを登り、 1ピッチ目終わり。2ピッチ目は難なくフェースを登る。 草付きを越え、3ピッチ目、うーーむ よく覚えていないが、 そこそこ。 4ピッチ目は馬の背。気持ちがいい。5ピッチ目も自分が リードしていないので覚えていない。チムニーがあって、 ちょっとむつかしく、そこそこ楽しかった。 6ピッチ目は核心部。ちょっと手強いぞ、私は身体を右に 振って登ったが、ホーリーは左から登った。 15:00終了。 ここから、主稜線に向けて踏み後があるが、我々は懸垂で 降り事とする。5m位あがると、懸垂点までのフィックス ロープがある。ここから、6ルンゼを懸垂しつつ、3回の 懸垂で3ピッチ目の終了点に降りる。 ここからは、南稜沿いに降りる。さらに1ピッチ懸垂で、 草付きの途中におり、そこから歩いて、2ピッチ目の終了 点に行き、ここからまた2ピッチ懸垂で、南稜取り付きの ちょっと下におりつく。 16:20懸垂終了。 ここから慎重に、中央稜取り付き経由でテールリッジを下り、 18:00にベースキャンプに帰り 着く。 7/20(土) 一の倉 変形チムニー 5:30 起床 6:20 ベース発。 7:30 テールリッジ上部。8:20 変形チムニースタート。 1P目;大見リードで登る。階段状で簡単そうだが、難しい。体が動かない。 2P目;堀井リード、ザイルは目一杯50m延ばした。途中嫌らしいクラックを登る。 3P目;大見リード、核心部の変形チムニー (ルート図では5P目になっている) バックアンドフットで登る。ピンは多いが 上部のチムニーが開いている所3mはピンが ないので冷や冷や。左の小さいテラスに 移ってから、右に乗り移って終了。 4P目;5m位あがって右へトラバース。 10:50 5P目;またもチムニー 6P目;簡単な登り 7P目;大見リード、ルートは右からなのだが、 左を登りテラスへ。(難しい) テラスの上は、ハング。残置を使いA0で越すが、 抜け口に残置なし。危うくバランスを失いそうだった。 ここで、ヌンチャクを受け取るのを忘れていたため、 1P切る 8P目;8P目;堀井リード、クラックを超えた ところで4畳半テラスとあるが、テラスは崩壊して おり、1畳ほどしかない。さらに緩斜帯を行く。 9P目;大見リード、草付クラックにフレンズ かまして登る。40m 10P目;堀井リード、草付を登り、烏帽子岩の カンテでビレー 11P目;烏帽子岩の下部を回ると、強烈な臭い。 「ここまでがマンしてきた気持ちは分かが、、」 ザイルにつかないように上の方にランニングをとる。 濡れた嫌らしいルンゼを登る。水平道のところでビレー。 12P目;ここから水平道をさらに1P。 縦走路と出くわすテラスでビレー。 14:00 ここから、南稜の終了点までの草付を、フィックスロープを 頼りに下る。ちょっと怖かったので、ザイルを懸垂点に通して、 持ちながら下る。南稜終了点までは、1Pの懸垂。回収の途中に ザイルが引っかかり、簡単なフェースを登り返す。 南稜の終了点手前で、右に行く道があり、それを行くと、懸垂点があった。昨日の南稜の懸垂点 のちょっと上だろう。シュリンゲが幾重にも掛かっており、よく確認しないと失敗しそうだ。 昨日懸垂した6ルンゼを懸垂する。昨日は20mごとの懸垂点で、セットし直したが、 2ピッチ分まとめて懸垂をした。途中ハングが2回あり、その間がテラスになっていたが、回収 するときに、またも引っかかってしまった。 いくらザイルを振ってみても、ザイルは降りてこない。ハングも登ることは出来ない。仕方 ないので、横のカンテを登るが、途中5mピンはなく、ここ数年、登った気配もない。ハーケン を打ちたかったが、適当なリスもなく、不安定な状況だと、よけいに危ない。グランドフォール 覚悟で(、、とても覚悟する気になれないが、、)慎重に登る。 「あった!」ハーケンを見つけ喜んでヌンチャクをかけるが、コケに埋まっている。 落ちそう なのを必死でこらえ、ハーケンを掘り出す。クリック!! *** なぜ回収ロープが 絡まったのか?? *** そんなこんなで登ってみると、1cm位の岩の突起に、綺麗にロープが絡んでいる。 どうやら、回収時にロープが空中を飛んで、中間テラスに一度溜まってしまい、下から 引っ張っているので、ループが突起に綺麗に絡んだ模様だ。 今まで10年で、ザイル回収の失敗は1度だけだったんだが、1日に2度もしてしまうは、、、 (教訓)回収時、登り返しが出来そうもなく、ザイルが溜まってしまうような中間テラスが ある場合は、細かく懸垂を繰りかえす。 @ロープを引っ張り回収時に、ロープ端が懸垂支点からはずれた瞬間に、 そんなこんなで時間をとってしまい、テールリッジの上部にたどり着いたのが、17:20。 テールリッジの下部に、18:20(テールリッジで懸垂2回)。ここから雪渓を降りるのだが、 デポしていたアイゼンが無くなっていた。「盗まれた!」と言った瞬間に、雨が降ってきた。 「誰も盗む者はおらんわい!ちゃんと固定していなかったんのが悪いんじゃ。グジャグジャ言う 雨を降らしたるわい!」と、谷川の神のお叱りだろうか?、雪渓を降りきったら、雨はやんだ。 8:50ベースキャンプ着 ご飯を食べ終えわり、20:00ゴロだろうか、雷が鳴り始めたので、テントに逃げ込み、 しばらくすると、上流から「ゴーー」と言う音が迫ってくる。 「こりゃいかん!!」と荷物をまとめていると、テントが「プク!!」と浮かぶ。「鉄砲水だ!」 近くのテントの人と、雨の中、さまよい、宮城の方々のテントに避難させてもらいました。 7/21(日) 翌朝、状況確認に行くと、我々のテントは残っていたけど、近くのテントは、流されていました。 自分のテントも浸水しており、ヘルメット・登攀具・雨具・食器と次々掘り出し、全部回収する。 前日にお会いした人たちも心配してくれて、無事を喜んでくれた。 しかし、あの雨の中、中央稜付近でビバーグしていた人たちもいたとのこと。すごい、、、、 仙台の方たちを含め、なんやかんやで知り合った3パーティーで温泉に入りに行く。 とっても濃い3日間だったが、温泉に入れば疲れも吹っ飛ぶ。またいつか何処かで会うことを約束して、 宮城・東京・埼玉・大阪へそれぞれ帰っていった。 以上
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